部品のある部分について実測された寸法を実寸法といいます。
基準値と許容される範囲の最大値および最小値との差を許容差、その最大値と最小値の差を公差と呼びます。
部品を製作する場合、実際には完全にその寸法どおりに仕上げることは不可能です。
そこで、実用上許される最大寸法と最小寸法を指示して、加工および検査の能率をあげています。
次のような値の範囲を公差または許容差と呼びます。
- 物理的な寸法や面積
- 原料、製造物、システム、サービスなどの測定値や物理的特性
- その他の測定値(温度、湿度など)
- 物理的な距離や空間
寸法や特性や条件は、装置やプロセスの機能に大きく影響することなく一定の実用的範囲内で変化する可能性があります。
性能を損なわずに固有の変動性と不完全さに対する妥当な余裕を許すため、公差が指定されます。
公差は、標準値への係数やパーセンテージ、標準値からの最大偏差、許容される値の明示的範囲などで指定され、標準規格書などに記されます。
または、標準値の数値的正確さで暗に示される場合もあります(有効数字)。
公差は対称的に 40±0.1 などとされることもりますが、非対称に 40+0.2/−0.1 などとされることもあります。
公差には、規格が定められており、寸法が増すにしたがって公差を大きくとり、同一区分に属する寸法に対しては、同一の公差を与えるように決めています。
また製品の精粗による公差の大小によって18等級に分け、これらの各等級ごとに各寸法区分に対する基本数値を定めています。
これをIT(International Tolerance)基本公差とよびます。
また、最大寸法と基準寸法の差を「上の寸法許容差」、基準寸法と最小寸法の差を「下の寸法許容差」とよんでいますが、これらのうち一般に基準寸法に近いほうの許容差を「基礎となる寸法許容差」とよび、その値は、穴・軸の同一種類においては、各等級を通じて共通の値としています。
この種類はアルファベットで表示し、等級はIT基本公差の等級によって表示します。
他方の寸法許容差は、基礎となる寸法許容差と、IT基本公差により求めることができます。