快適な室内環境要素 放射温度

放射温度

室内環境を快適に保つためには、温度のほか湿度、風速などが非常に重要な要素となっています。これは体感温度と非常に密接な関係があり、同じ温度でも湿度が高いと蒸し暑く感じたり、風がないと暑く感じたりすることになるのです。そのため、これらの要素を上手に組み合わせて快適な室内環境を保つことが、住宅の環境を維持する中では非常に重要な要素となっています。

放射温度
住宅の中では単に外気の温度だけではなく、建物にこもった熱を放射する放射温度も非常に重要なものとなります。放射とは、物体から物体へ熱が赤外線として伝わる現象のことです。赤外線は目に見えませんが、私たちの周りでは常に赤外線が飛び交い、絶えず熱の移動が行われています。そのために、近くにある床や壁、天井などの温度が極端に高かったり低かったりすると、放射熱の影響で暑かったり、寒かったりします。例えば直感的には、夏暑い日に温められた室内が、夜窓を開けても涼しくならないことがあるように、家の中の様々な部分が熱を吸収し、夜間にこれを放射することで室温を上昇させる効果を発生させているのです。この放射温度を専用の測定器で測定することで、住宅の放熱効果や快適性を判断する材料としています。

放射温度を調節する
現代の住宅では、比較的放射温度が高くなる傾向があります。これは断熱効果が高い住宅の場合、室内に向けて熱を放出する傾向があるためですが、この放射温度を快適に制御することで、夏涼しく冬暖かい室内環境を維持することができるようになります。その効果は壁の構造や天井の構造によっても異なるため、室内空間を十分に考慮することが必要です。
例えば夏場のエアコンも、部屋の空気を冷やすことだけではなく、部屋の壁や床、天井を冷やすことも考えることができます。例えば1時間後に切れる設定でエアコンをつけて寝たとします。エアコンの風を体に当てると、1時間の間は快適ですが1時間後にはまた暑くて眠れません。一方、エアコンの風向きを天井に向けておくと、天井が冷えてくれるため、1時間たったあと、天井から放たれる赤外線の量が激減して暑さを感じにくくなります。