クロマトグラフィーの歴史 その1

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前にもご説明しましたとおり、最初にクロマトグラフィーを行ったのはイタリア生まれのロシア人植物科学者Tswettによってでした。
Tswettはクロロフィルには複数の成分が存在すると予測し、これらを分離するためにさまざまな手法を試みた結果、ガラス管にチョークの粉(CaCO3)を詰め溶媒を流すというきわめて単純な操作で、植物葉由来の色素を分離できることを発見しました。そこで、複数の色素が分離された様子を「クロマトグラム」、その手法を「クロマトグラフィー」と名づけたのです。

1903年 ロシア人植物科学者Tswettのクロマトグラフィーについての論文がロシア語で出版される

一時注目を集めた発見でしたが、しばらく顧みられなくなりました。

1930年代の半ばになると、Tswettの方法が見直され,カロテノイドやアントシアニンなどの天然色素の分析に関する論文が出版されるようになりました。

1937年 東京帝國大學の近藤により「クロマトグラフによる有機分子化合物の分析に就て」という題の論文を発表、アルミナを吸着剤としたクロマトグラフィーによるさまざまな混合物の分離を報告

この頃から、クロマトグラフィーという言葉が世界で広く用いられるようになりました。

1941年 MartinおよびSyngeによる分配クロマトグラフィーに関する論文が発表

1944年 MartinおよびSyngeは、ろ紙を用いた二次元ペーパークロマトグラフィーを考案し、ペーパークロマトグラフィーの論文を発表、セルロースを被った水と有機溶媒間の分配によるクロマトグラフィーを行う

1945年 Cleaverがイオン交換樹脂を用いたイオン交換クロマトグラフィーによるヒスチジンとグルタミン酸の分離に関する論文を発表

今では、ごく当たり前のように活用されているクロマトグラフィーですが、研究や開発が進むまでに半世紀以上もかかっていました。
この続きは、「クロマトグラフィーの歴史 その2」でご説明します。