サイズ排除クロマトグラフィー
高分子物質の分離に優れていますが、複雑な多成分を含む試料の分離は困難です。固定相に多孔性粒子を用います。
試料成分はその細孔内部への浸透性の差により分離します。細孔の大きさより大きい分子は細孔内部に浸透できず、速く溶出します。
逆に細孔よりも小さな分子は細孔内部まで浸透するため、大きな分子より遅れて溶出します。
分子排斥クロマトグラフィー、分子篩(ふるい)クロマトグラフィー、SEC (size exclusion chromatography) とも呼ばれ、試料の分子サイズに基づく篩い分けを原理とするクロマトグラフィーのことです。
移動相が有機溶媒であるゲル浸透クロマトグラフィー (GPC、gel permeation chromatography) と、移動相が水溶液であるゲル濾過クロマトグラフィー (GFC、gel filtration chromatography) とに大別されます。
固定相担体は表面から内部に向かって狭くなる多孔質の素材でできています。したがって、多孔質のサイズが問題になるほど巨大な分子の場合、固定相内部まで分散侵入することができません。言い換えると小分子は担体内部にまで拡散できますが、大分子は担体の外部を流れ去るだけです。
このように試料のサイズにより見かけの固定相容積が異なるので、巨大分子が先に、小分子が後に流出してきます。この原理をサイズ排除クロマトグラフィーと呼びます。用途としては合成高分子、天然高分子の分子量、オリゴマーの分離などに用いられています。
特徴としては、「高分子物質の各種平均分子量及び分子量分布が同時に測定できる。」「測定可能な分子量範囲が、数百~数千万と広い。」などが挙げられます。
注意点としては、「分子量と、実際の分子の大きさとは必ずしも一致しない。」「試料成分と充填剤に相互作用(吸着、イオン交換など)があると正しい分子量を測定できない。」などがあります。
分子排斥クロマトグラフィーはデキストリンゲルやアガロースゲルを使用した酵素たんぱく質の精製法として開発され、生化学、分子生物学の分野で利用されています。