分配クロマトグラフィー
もっとも一般的なクロマトグラフィーで、移動相と固定相間における試料成分の溶解性の差により分離する手法です。
ガスクロマトグラフィーと液体クロマトグラフィーのどちらにも利用されています。
この手法は、移動相より固定相に溶けやすい成分ほど遅く溶けだしていくことになります。
固定相の選択の幅はそれほど広くないため移動相の組成やpHを変化させることにより分離の多様化が可能となります。
分配クロマトグラフィーでは固定相と移動相の極性の相対的な関係から順相系と逆相系に分けられます。
(1)順相系(順相クロマトグラフィー)
極性の高いカラムに極性の低い溶媒を流し、極性の低い成分から極性の高い成分を溶出させる方法が順相系と言い、試料としては親水性の高い、低極性の化合物に適しています。
特徴としては、極性の低い物質の保持時間が小さく、極性の高い物質の保持時間が大きくなります。
非水溶性有機溶媒または水、緩衝液と水溶性有機溶媒の混合溶液を移動相として使用し、固定相は、アミノ基やシリカゲル系、ポリマー系の官能基、極性基で表面を被覆したものが用いられます。
(2)逆相系(逆相クロマトグラフィー)
極性の低いカラムに極性の高い溶媒を流し、炭素鎖の短い成分から炭素鎖の長い成分を溶出させる方法が逆相系と言い、最も広く用いられている方法です。
試料としては、極性が低~中程度のほとんどの有機化合物が対象となり、おおむね極性の高い物質か、もしくは疎水性の低い物質が先に移動します。
水、緩衝液と水溶性有機溶媒の混合溶液を移動相として使用します。
有機溶媒の割合が増すほど溶け出る力が強くなります。固定相には、シリカゲル系、ポリマー系逆相充填材が代表的な充填剤として使用します。