デジタルマルチメーターについてご説明します。
デジタルマルチメーターは、アナログ-デジタル変換回路を用いて測定値をモニタにデジタル数字で表示する回路計のことで、デジタルテスタとも呼ばれることもあります。
英語表記にすると、digital multimeterとなり、略称DMMで表現されることもあります。
(1)構造
デジタルマルチメータは一般に以下の部品から構成されます。
- (1)メータ(モニタ) : 値を表示する部分です。一般的に液晶ディスプレイが多く、バックライトを内蔵する製品もあります。商用電源を使用する据え置き型では7セグメントLEDや蛍光表示管(VFD)を用いたものもあります。古くはニキシー管を用いたものもあったようです。
- (2)ロータリースイッチ : 測定レンジの切り替えを行う時に用います。
- (3)ブザー …導通状態を音によってお知らせします。表示を見なくても導通の有無が音で判断できるため作業性がとても良くなります。
- (4)測定用端子 : プラス側およびマイナス側のテストリードを接続する部分です。
- (5)テストリード : 接触用の金属棒・絶縁棒がセットになったリード線のことです。
(2)仕様
スイッチを切り換えることにより、広範囲の直流電圧、直流電流、交流電圧、交流電流、抵抗の測定ができます。高機能機種になると、コンデンサの静電容量、周波数、デューティ比などが測定できるものもあるようです。小型化された機器としては、カード形のものやペン形の製品があります。
アナログ式と比較した時のメリットとしては、内部抵抗(入力抵抗)が非常に高いため、低電圧、低抵抗、高抵抗などの測定に適していると言えます。また、アナログ式では交流電流の測定が可能な機種が一部の高級機種に限られてしまいますが、デジタル式では低級機種でなければ交流電流の測定機能が標準機能として付いていることが多いです。
一方で、デメリットとしては、測定値が絶えず変動する場合には数字の読み取りが難しいといった点が挙げられます。その問題を回避するために、測定値の保持機能や、モニタ上においてバーの点灯個数により測定値の大小を直感的に示すバーグラフ式表示機能などが設けられることがあります。また、アナログ・デジタルを一つの本体に複合した製品も生産されているようです。
さらに、デジタル式にはオートレンジという機能があり、測定値の大小に応じて自動的にレンジが切り替わるのが一般的となっています。しかし、測定値が大きく変動するような場合はレンジが頻繁に切り替わるため、読み取りがさらに困難になります。そこで、指定したレンジに固定するレンジホールドと呼ばれる機能も用意されています。機種によっては、直流信号と交流信号を自動識別してモードを切り替える機能が付いているものもあります。
注意点としては、デジタル式で抵抗レンジを選択した場合、アナログ式とは異なり赤がプラスとなります。また、オートレンジ機能により流れる電流が変化するため、スピーカーなどにテストリードを当てるとレンジの切り替えにともなってプチプチという音が聞こえることがあります。