アナログマルチメーターについてご説明します。
アナログマルチメーター(アナログテスターとも呼ばれる)は、広範囲の直流電圧、直流電流、交流電圧、電気抵抗の測定が可能です。
多機能機種になると、交流電流、トランジスタの電流増幅率、コンデンサの静電容量、温度などが測定できるものもあります。
(1)構造
アナログマルチメーターは一般に以下の部品から構成されます。
- (1)メーター(指針):値を表示する部分です。
- (2)ロータリースイッチ:測定レンジの切り替えを行う時に用います。
- (3)ゼロオーム調整つまみ:抵抗の測定を行なうとき、0Ωの位置を調整します。
- (4)測定用端子:プラス側およびマイナス側のテストリードを接続する部分です。
- (5)テストリード:接触用の金属棒・絶縁棒がセットになったリード線のことです。
(2)仕様
大型・精密の用途を除いて、一般的に平坦な場所に置いた筐体を上から覗きこんでメーター(指針)の指示値を読む方式となります。
測定を行う時に、テストリードを端子に接続し、スイッチ切り換え、もしくはテストリードの挿入端子を変更することにより目的の測定回路を選択します。
アナログマルチメーターで一般に用いられている測定範囲(レンジ)は、次の通りです。
直流電圧: 0.1V~1000V(または0.12V~1200V)
直流電流: 50μA~10A(または60μA~12A)
交流電圧: 2.5V~1000V(または3V~1200V)
抵抗: 1kΩ~20MΩ
異なるレンジで目盛りを共有することになるため、抵抗を除き、レンジの設定はそれぞれ2.5、5、10または3、6、12の倍数、抵抗については10倍または100倍刻みとなっています。
ただし、交流電圧の最低のレンジについては、整流器の特性の関係により0(ゼロ)付近の目盛りが詰まった感じの特別な目盛りになっていることが多いです。
中には、デジタルマルチメーターのように自動でレンジが切り替わる製品もあるようです。
電圧測定に関係する計器の内部抵抗(入力抵抗)は、目盛り板の片隅に表示されており、単位はオーム毎ボルト(オームパーボルト) [Ω/V] で表されています。
この値が大きいほど回路に及ぼす影響が小さくなるので、精密な測定が可能となります。しかし、機械的に弱くなるため取扱いには注意が必要になります。一般的に、2~50 kΩ/V 程度の製品が多く、特に高い内部抵抗を必要とする場合には、入力段にFET(Field Effenct Transisterの略、電界効果型トランジスタのこと)を使用した高入力抵抗タイプのものか、デジタル式を使うことをお勧めします。