検定試験にも、合格基準があります。
その合格基準を目標にして、受験者は学習を進めます。
今回は、測定に必要な精度についてのお話です。
「測定に必要な精度」とは、これから実施する測定がどの程度の正確性が必要かということを利用者自身がまず認識することから始まります。製品の出荷検査をする場合では、その検査の合否判定基準を確認してから測定に臨むことが大切です。
熱電対を用いた測定の場合について、例を挙げてみます。
まず、熱起電力の大きさや使用するデジタルマルチメータの精度、表示値のばらつきの大きさなどを確認します。そして測定結果に対してこれらが与える影響が測定に必要な精度から見て妥当なものであるかを判断する必要があります。
具体的には、
・熱起電力の大きさからみて、デジタルマルチメータの測定レンジは適切か?
・必要とする精度を満足するだけの能力をデジタルマルチメータはもっているのか?
・表示値のばらつきは必要とする精度に影響を与えるほど大きくないか?
これらの影響量が測定に必要な精度から見て十分に小さいことを確認できて初めて実施した測定は正しい結果であるということができるのです。