誤差について考える重要性 4

20180402-12

前回の続きです。

丸棒の長さは仕様書によると、100.000mmです。しかし、マイクロメータの測定値は100.013mmであったことから、その差は0.013mmです。測定対象の分布と計測器の分布を重ねる(図Aとする)と、二つの分布の中心値にズレがあることがわかります。このズレは、仕様書と測定結果の差0.013mmを表しているのです。

この差は、前回も書いたように、温度の影響によって丸棒が伸びた長さの分やその他の環境による影響分、及び丸棒が元々持っている誤差分が合わさった結果です。もし測定環境の気温が20℃より低ければ、測定は100.000mmより短くなることが考えられ、図Aにおけるマイクロメータの分布は左に移動します。

ここで、忘れてはならないのがノギスやマイクロメータなどの計測器自体が持つ偏りです。マイクロメータが校正されたとき、その校正結果が100mmに対し+0.005mであったとしたら丸棒の測定は初めから0.005mm偏った値を示すことになります。このように、計測器を使用する際は計測器の校正結果を認識していなければ間違った測定結果になりかねません。

ここで、マイクロメータを校正した際の標準器をブロックゲージとして、このブロックゲージの測定結果を図Aに加えるとします(図B)。ブロックゲージはマイクロメータの標準器ですから、通常、その分布はマイクロメータよりも小さくなります。またブロックゲージとマイクロメータの二つの分布の中心値の差が、マイクロメータの校正結果である+0.005mmになります。

この測定において、誤差要因を分類すると次のようになります。

  1.  標準器に関わるもの
  2. 測定対象に関わるもの
  3. 測定環境の変化に関わるもの
  4. 測定者の間違いに関わるもの

これらの中には、その量が定量的に把握できるものもあればそうでないものもあります。定量的に把握できるものはその分を補正することにより、測定の精度は上がります。しかし、定量的に把握できないものは、測定の制度を悪くする要因となるのです。