誤差について考える重要性 3

20180402-11

前回の最後にあげた3つの考えられることは、実際には何ミリメートル長くなっているかはわかりません。しかし、測定結果は“長く”なり、“短く”はならないだろうという予測は立ちます。そして、長くなっても大体0.014mm前後が妥当であり、大きく見積もってもせいぜい0.020mm長くなるところがいいところで、0.030mmは長くならないだろう、という考えに発展させることができます。

丸棒の持ち方が異なれば熱の伝わり方が変わるためにその値は変わり、手で握りしめて測れば丸棒をより温め、測定結果はさらに長くなるはずです。このように測定する際、測定方法と測定環境から、「測定にどの程度影響を与えるのか」を常に考えながら測るのと、何も考えずに測るのでは結果は異なります。

丸棒(測定されるもの)とノギスやマイクロメータ(計測器)の測定値の分布について考えます。

このとき、丸棒を測定した際の測定値は分布の中心に位置し、測定値の周りにはある量のばらつき・分布が存在しています。分布図の縦軸に測定値が出現し得る確率をとると、ばらつきの中で最も出現回数の多い値を測定値とすることから、測定値(中心値)の出現する確率が最も高く、その値から離れるほど、その確率は低くなります。

また、「4対1理論」のように適切な精度比を前提にすると、丸棒よりも計測器の方が分布が小さく中心値付近に集中しているのに対し、測定対象である丸棒は広く分布します。