誤差とは 3

20180402-9

前回の最後で、正規分布について触れました。

しかし実際には、その測定結果のばらつきにより正規分布は異なるものになります。ばらつきを表す数値がないと測定値に対する信頼性を裏付けることができないということです。ここで、一般的に標準偏差が使われます。

抵抗器100Ωの表示値が100.000Ωだった場合、その周りに、ある範囲の測定値のばらつきが存在し、その代表値として100.000Ωが表示されるという話を、前回しました。測定回数を増やすことで得られたいくつかの代表値の中で最も捨現回数の多い値を測定値として採用すべきで、この値は全測定値の平均値になります(厳密には近似します)。ここで、標準偏差を求めると0.0011Ωという結果になります。これは測定値100.000Ωの周りに±0.0011Ωの範囲でばらつきが存在するということです。別の言い方をすると、この抵抗器の値は100.000Ωではありますが、±0.0011Ωの範囲で値が変わる可能性があるということです。測定結果が正規分布に従う場合、±0.0011Ωの範囲内に含まれ、その確率は理論的に約68%になります。

実際には標準偏差を2倍してその確率を高めることが行われます。約68%という確率は、決して説得力に満足したものではないからです。標準偏差を2倍すると、約95%の確率で測定結果が正しいということができ、さらに3倍では約99%になります。

この話は、時間が変化しても同じです。つまり、ある時間の測定値が100.000Ωで、その1時間後に100.002Ωだったとしても、これらはあるばらつきを持った測定結果の中の代表値であるため、このばらつきの範囲内ではどちらも正しい測定値であると言えるのです。