前回の続きから解説します。
例えば、製品スペック1.0%の抵抗器100Ωを製品として出荷する場合、合否判定基準は製品スペック1.0%(1.0Ω)の75%であるため、±0.75%(±0.75Ω)が合否判定基準と言えます。つまり、99.25Ω〜100.75Ωの間に測定結果が存在すれば合格となります。
精度比が4対1、合否判定基準75%という条件において、合格と判定した製品(99.25Ω〜100.75%の間に測定結果が存在するもの)の測定値が、全て合否判定基準の限界ライン上である99.25Ω又は100.75Ωであった時に、はじめてこの合格品の中の2%が製品スペック(100Ω±1Ω)を超える可能性が統計的に生じてきます。
しかし、これはあくまでも計算上の話なので、実際には製品スペックを超える製品は2%を大きく下回ります。つまり、ここでいうリスクというのは統計上の最悪値のことです。合格品の中に製品スペックを超えるものが含まれる可能性のことで、製品検査の不合格率とは異なるもので、混同しやすいので注意が必要です。
以上が製品検査の合否判定基準の決め方です。特別な理由がなければ、リスクを2%と設定することで、「4対1理論」の効果的な運用が可能となるでしょう。