前回の内容を踏まえ、「4対1理論」について具体的に見ていきましょう。
製品精度A=0.50%、計測器の精度B=0.13%であることがわかっています。この場合、測定の精度C=0.52%となります。この0.52%というのは妥当な数字なのでしょうか。影響度D=1.03となり、1より0.03だけ大きいという結果になります。
0.03という数値は1よりどの程度大きいと言えるのでしょうか。
Dを有効数字2桁(小数点以下第2位を四捨五入)で表すことにします。この場合、影響度D=1.0です。影響度Dと1の差はゼロになり、測定の精度Cは製品精度Aと同等であると考えられます。また、精度を考える場合、有効数字2桁で表すことで十分と言われており、それより小さい桁の数値を問題視しても意味がないとされています。
製品精度A=0.50%として、計測器の精度B、測定の精度C、影響度Dを、精度比を1:1、2:1、3:1、4:1…10:1とした場合、次のようになります。影響度は有効数字2桁で計算しています。
精度比A:B | 製品精度A | 計測器の精度B | 測定の精度C | 影響度D(=C/A) |
1:1 | 0.50% | 0.50% | 0.71% | 1.4 |
2:1 | 0.50% | 0.25% | 0.56% | 1.1 |
3:1 | 0.50% | 0.17% | 0.53% | 1.1 |
4:1 | 0.50% | 0.13% | 0.52% | 1.0 |
5:1 | 0.50% | 0.10% | 0.51% | 1.0 |
10:1 | 0.50% | 0.050% | 0.50% | 1.0 |
参考例:表