検査などに従事する現場技術者は、計測器を用いて検査を行い、製品が出荷できるかどうかを判断する必要があります。その判断は、適切に実施できているのでしょうか。ここでの合否基準は、製品の不良率やその後のクレームにつながりかねない重要事項です。
「4対1理論」というものがあります。これは、計測機器を選定する際に基準となる考え方のことで、“製品=計測されるもの”と計測器=“計測するもの”との精度の比率を4対1に設定するという考えです。
ある製品の精度を保証して出荷する場合、何かしらの計測機器を使用することになります。どのくらいの精度がある機器であればその製品に対して十分か、という点を考える上で、「4対1理論」は重要になります。
例えば、金属棒の長さを100.00mm±0.50mmに切り出し、出荷するとします。この金属棒の長さをノギスで測定し、許容される±0.50mm以内に入ることを確認する場合、ノギスは±0.50mmの1/4である±0.13mmの精度を満足するものを用いることで、この検査は適切に実施できるのです。
こういった判断(上記の例では、金属棒の要求精度に対するノギスの精度)をする際に、「4対1理論」を用いることになります。次回も続けて、「4対1理論」について解説していきます。