それでは、このような情報を提供する立場にいる現場の技術者は、計測の必要性を説明することができるのでしょうか。装置のリプレース時や計測器の購入時など、上司に対し精度に応じた計測器の購入や、測定環境の整備について説明する場面があると思います。
製造メーカー(企業)にとって、計測は必要不可欠です。計測は企業の生産活動におけるインフラストラクチャーであり、怠ってはいけません。怠った場合、企業の地力を弱めることになります。しかし、必要以上の精度は過剰投資になります。
現場技術者には、計測の重要性を認識し、正しく伝えることが期待されます。経営者に対しては、計測が人や物、金といった会社・組織の資源にどのような影響を与えるか、品質保証部長に対してはクレーム件数や回収不能原価にどう影響を与えるか、製造部長に対しては生産効率にどう影響を与えるか、こういったことを考え、適切な判断や行動が取れる情報を関係者に提供、共有することが大事になります。
その中で、“精度”の高い測定とはどのようなものなのかを、しっかりと判断し、それを説明することが、企業利益につながるでしょう。また、現場技術者の声をしっかりと聞き、受け止める上司も必要でしょう。